アクリライトの吸水・乾燥特性

アクリライトの吸水・乾燥特性

プラスチックはは温度及び湿度(吸水率)に応じて膨張・収縮する特性があります。
この項ではアクリル樹脂の湿度(吸水率)による膨張・収縮特性を説明します。
温度による膨張・収縮特性は右のリンクを参照してください ⇒アクリライトの伸縮(のびちぢみ)について知りたい

アクリル樹脂は水中あるいは湿気のある空気中においてゆっくり水を吸収します。
このとき、吸水とともに体積が膨張します。
吸水、乾燥は可逆的で、水による化学変化はおこりませんが、多量に吸水しますと、印刷、成形加工時にトラブルの原因となる場合があります。

図1に水に浸漬した時の吸水率を示しました。
浸漬する水の温度を変えると吸水する速度が変わります。
室温(27℃)では、厚み3mmのアクリライトが飽和吸水するまでに約3か月かかります
図1:水に浸漬した時の吸水率

図2には温度20℃で各相対湿度のときの吸水率を示しました。
相対湿度によって吸水率が変わります。
各湿度のときの吸水率は図3に示しました。
図2:20℃のときの吸水速度
図3:各湿度の平衡吸水率

図4にアクリライトの吸水率と伸びの関係を示しました。
日本では年間平均湿度が60~70%RHですので、長期間室温で置いたアクリル板は、図3より吸水率は1%弱であると考えられ、図4より完全乾燥状態から0.15%前後伸びた状態であると考えられます。
図4:吸水率と伸びの関係

図5には水分1%のアクリライトを80℃で乾燥する場合の乾燥速度を示しました。
同じ温度で乾燥しても、厚みによって乾燥するまでの時間が変わります。
厚み3mmのアクリライトでは、概ね2日間(48時間)でほぼ完全に乾燥できます
図5:水分1%のアクリライトを80℃で乾燥する場合の乾燥速度
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