アクリライトの機械的性質が知りたい

アクリライトの機械的性質が知りたい

機械的性質
機械的性質は測定温度や湿度によって影響されます。通常23℃±2℃、相対湿度50±5%で測定されております。

(1) 引張特性
各種材料の引張特性を表4に示しました。
表4 各種材料の引張強さ、弾性率と伸び
① 引張強さ
材料に力を加え引張ったとき、材料が破壊する力・荷重を材料の断面積で割った値を引張強さといいます、アクリライトLの引張強さは75MPaでありプラスチックのなかでは比較的大きいといえます。降伏点以前で破壊が起こるのは通常25℃以下の温度領域で、25℃以上でしばしば降伏現象がおこります。
②引張弾性率
応力σとひずみεとの比を弾性率またはヤング率といい、初期弾性率Eで表します、
E=σ/ε
弾性率は数値の大きい程、変形(伸びやたわみ)しにくいことを示します。アクリライトLはプラスチックのなかでは弾性率が比較的大きいほうです。
③温度と引張強さ及び弾性率
アクリライトLの強さは温度によって変化します。-60℃から+60℃の温度範囲での引張強さと弾性率の変化を図15に示しました。アクリライトLは塩ビのように脆化温度はなく、低温でも常温以上の強さを示します。

図15 温度と引張強さ及び弾性率

(2) 曲げ、圧縮、せん(剪)断の特性
アクリライトLと各種プラスチックの曲げ、圧縮、せん(剪)断特性は表5の通りです。
曲げ、圧縮に対する強さ、弾性率はいずれもプラスチックのなかでは比較的高い方です。

表5 曲げ、圧縮、及びせん断の特性
せん断弾性率(G)は引張弾性率(E)から計算により求めます。すなわち
G=E/{2(1+ν)}
但し ν:ポアソン比
アクリライトLのポアソン比ν、引張弾性率Eはそれぞれ
ν=0.35 E=3.2x10³
なので、これを代入すると
G=1.2x10³(MPa)
となります。(アクリライトLのポアソン比は、-25~50℃の範囲でν=0.35です。100℃近辺ではν=0.5に近づきます。

(3) 硬さ
物体の硬さとは、「物体の硬軟の程度を示す量であって、一般に試料に他のより硬い物体を押し込み、または引っかく際に示す抵抗をもって測る」と定義されていますが、その表示方法は各々の場合によって多種多様です。各スケール間の換算もできません。
アクリライトLと各種材料の硬さを表6に示しました。アクライトLはプラスチックのなかでは比較的硬い方です。

表6 各種材料の硬さ

(4) クリープ
長時間荷重を加えていると、時間とともに変形が増大して、荷重を除いてももとに戻らず永久変形となります。このように一定応力下で物体の塑性変形が時間とともに次第に増加する現象を、クリープといいます。クリープは温度と荷重に大きく影響されます。
図16引張クリープ特性

(5) 疲労
疲労とは、荷重下で時間とともに強さが低下する現象です。
アクリライトの繰り返し曲げ疲労試験(ASTM D-671)の結果を図17に示します
図17 アクリライトの繰り返し荷重における強度

(6) 衝撃強さ
衝撃強さは高速度応力によって物体を破壊する時に費やされたエネルギーの量で表されます。代表的な測定法としては落球式と打撃槌(シャルピー、アイゾット)があります。

① 落球衝撃強さ
図18にアクリライトLの板厚と落球衝撃強さを示しました。厚板になると強化ガラス以上の値を示します。
図19は落球衝撃強さの温度依存性です。低温でも、強度の低下が見られません。
図18板厚と落球衝撃強さ
図19 温度と落球衝撃強さ

② シャルピー衝撃強さおよびアイゾット衝撃強さ(ノッチ付)
アクリライトL 及び他の樹脂のシャルピー、アイゾット衝撃値は表7の通りです。アクリル樹脂はスチロール樹脂等と同様に ノッチに敏感ですので、設計や加工をする上で注意が必要です。

表7 プラスチックの衝撃強さ

アクリライトの物性に関する技術資料は、アクリライトの物性について知りたいでダウンロードできます。
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